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ルルスザ/クリスマス小話後編




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 食事が終わり、ナナリーも寝る時間となって、これからが大人の時間だと思いルルーシュは自分の部屋へとスザクを誘った。
 
 スザクもにこやかに笑って付いてくる。
 
 「また、君達とクリスマスが過ごせるなんて思ってもみなかったよ」
 
 「覚えてる?7年前、三人でクリスマスを過ごした事。」
 
 なんて、昔話をしながら、それなりに良い雰囲気だったりもしたから、これはOKサインだと思った。
 
 「スザク……」
 
 テーブルがあるにも関わらず、ソファでもなく、ベッドに敢えて腰掛ければ、スザクも躊躇い無くその隣に座るのだから、これは期待していいと誰だって思うだろう。
 
 そっと、傍にあるスザクの手に自分の手を重ねてルルーシュは、少しだけ掠れた声でスザクの瞳をじっと見つめた。
 
 スザクはキョトンとした目で、それでも笑ったままだから、てっきり自分の告白を待ち望んでいて、返事もOKだと思って疑わなかった。
 
 「スザク、お前が好きだ。7年前からずっと。」
 
 ドキドキと胸を高鳴らせて、心臓が破裂するんじゃないかと思いながらも言い切れば、スザクはそれはそれは顔を綻ばせて嬉しそうに言った。
 
 「ありがとう、ルルーシュ、僕も君がとても大切だよ。」
 
 だから、思いは受け入れられたと思ったのだ。当然だろう。
 そして、スザクをそのままベッドに押倒した。スザクは抵抗一つしなかった。
 
 「そうか―――なら、スザク。お前と寝ても良いか?」
 
 それに、くすくすとスザクは愛らしく笑う。
 
 「何言ってるんだよ、ルルーシュ。そう誘ってくれたのは君だろう?」
 
 だから、つまり、俺の部屋に来たのは、そういう意味も了解で来たと言う事かと思う。そう思っても仕方がない事だろう、誰も俺を嘲笑う事も責める事も出来ない筈だ。
 
 「スザク、愛してる―――お前を、抱きたい。」
 
 そのままキスをして事に雪崩れ込もうとしたら、キスする前にスザクに抱きしめられた。それは恋人にするというより、ハグという抱きしめ方だ。
 そして、 思いっきり笑われた。

 「あはははははは!!ルルーシュ、何かそれだと、告白してるみたいだよ?」
 
 呆然としてスザクを見れば、これでいい?と言わんばかりに問い返される。
 ――――そういえば、こいつ。空気読めないんだった。
 
 「……スザク。」
 
 「何?ルルーシュ。」
 
 小首をかしげて問い返される。その姿にキュンとする。キュンとするが…
 
 「さっき、誘ってくれたのは俺だって…」
 
 「へっ?今日泊まってけって言ってくれたじゃないか。そのまま年越ししようって。」
 
 言った。それは確かに言ったが…
 
 「……スザク、あのな。」
 
 「どうかした?」
 
 ぐっと、スザクの肩に置いている手に力を入れて、耳元で囁いた。
 
 「告白しているみたい、じゃなくて、告白しているんだが。」
 
 半ば、呆れて口にする。
 するとその瞬間、まさに一瞬で、スザクの顔は凍りついた――ように見えた。
 その顔は直ぐに笑みに変ったが。
 
 「何言ってるんだよ、僕達男同士だよ?」
 
 笑いながら、続く言葉にルルーシュは心の中が凍りつく。

 ――でも、スザク。お前は、知っているだろう。男同士でもそういう対象に成り得るという事を。
 
 学校で、不良っぽい奴に絡まれていたのを見た時は凍った。
 明らかに欲のある目で絡まれて――スザクが軍人だったから、軽くあしらう事が出来たのだろう。
 直ぐに、自分を見つけて、自分の所に来た時はホッとした。
 いや、あれは自分に初めから気付いていたのか。今となってはどうでもいい事だが。
 
 「それに、君には彼女がいるじゃないか。ほら、翠の髪の長い神秘的だっていう人。」
 
 「スザク、だから、彼女は別に―――」
 
 「ダメだよルルーシュ。喧嘩でもした?意地を張り合ってないで、ちゃんと仲直りしないと。」
 
 そこまで言われれば、切れる。
 本当に好きなのだ。好きだという気持ちも伝わっていると思っていた。それは伝わっていたのだろう。恋人という意味ではなかったかもしれないが。
 それでも、それを今、恋人として好きだと告白した人間の前でそれはないんじゃないか?
 
 「スザク、好い加減にしろ!人の話くらい聞け!」
 
 強く肩を掴んで、体重をかけて力をこめる。
 
 「ふざけてるのか!?俺は、お前が好きだと―――!!」
 
 怒鳴った後に、気付いた。
 何時の間にか、スザクはもう笑っていなかった。
 それに、肩をグッと押したはずなのに、スザクはするりとルルーシュの力を逸らして起き上がっている。
 軍人であるスザクに口惜しさを感じる。
 力では、勝てない。
 それに―――
 
 強張った顔で、静かにルルーシュを見つめる瞳に、動けなくなった。
 
 「ルルーシュ…」
 
 声が震えているのはルルーシュの気の所為ではない筈だ。
 
 「僕は、君が、とても大切だよ。だから、君とこういう事をする気はない。」
 
 静かに、しかし、怒っているようでもなく、困った笑みを向けられた。
 ただ、ルルーシュは呆然とするしか無かった。
 
 「ごめんね。」
 
 子供にするように額にだけ口づけて、スザクはベッドを立ち上がった。
 
 「さっきのは、忘れるようにするから。今日は、もう、寝るよ。」
 
 去り際に言い残すスザクに、辛うじてルルーシュは声を張り上げた。
 
 「スザク!俺の気持ちは忘れるな!それから、俺から離れるな!」
 
 一つのちょっとした確信はあった。
 男が男を好きである事に嫌悪していないだろうし、スザクはそんな人間でもないと。
 
 それに、多分―――――嫌われていないし、恋、という意味でも手応えはある。
 とも、思う。
 
 「おやすみ、ルルーシュ。」
 
 聞こえた声は、涙で濡れていて。笑ったであろう、その顔は酷く歪んでいた。
 
 かすかに、光って見えたのはひょっとしたら、泣いていたのかもしれない。

 「馬鹿がッ!!」
 
 (あんな顔、させるつもりじゃなかった。)
 
 苛立たしげにルルーシュは自分の髪を掻き毟った。
 
 
 
 
 
 
 
 スザクの言動も、表情も、解らない事が多い。
 落ち着いた今なら、多分、どういう気持ちでルルーシュがいたのか、スザクは気付いていたのだろうと解る。
 それを、しらばっくれていた。確信を持てる。いや、しらばっくれていた、と言えるかは微妙な所だが。
 C.C.が残した言葉にも気がかりが残る。
 
 それでも、まだ、諦めるつもりは無い。
 
 (俺が諦めなければゲームは終らない。絶対に、お前を諦めないぞ、スザク。覚悟しろ)
 
 その為に――――俺は。
 
 想いは伝えた。脈も無いという事はないのだろう。
 そして、スザクが泊まっている間までにはまだ時間がある。先手必勝。攻めは最大の戦略。
 その間に距離を続けて…長期戦でもいい。難攻不落の方が燃えるというものだ。
 これから、じっくりでもじわじわとでも、攻めていけばいい。
 
 (スザクが望むなら、どんなものでも与えて見せる)
 
 スザクが望む世界も、望む生活も、望む願いも。だから―――!
 
 まっていろ、スザク。


 前半に戻る
―――――――
ルルスザ……?
ルルは健常若者な感じでスザクが好き。
スザクは歪んでルルーシュが好きな気がする。
好きで大切過ぎるから、手が出せないという感じです。
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特派ってなに?
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BlogPetの朱 URL 2008/01/03(Thu)11:09 編集
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