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ルルスザ/クリスマス小話



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 クリスマスである。
 世間一般的に見れば恋人達がお互いの愛を確かめたり深めたりする日でもある。
 もちろん、俺だって色々なプランを立てていた。
 もっとも、未だ、恋人じゃない。それに二人っきりのクリスマスでもない。
 愛しい最愛の妹のナナリーがいる。
 でも、愛しい最愛の恋…想い人、つまりは未だ友達の枢木スザクとも過ごしたかった。
 その為に半年も前から計画を立てていたのだ。
 
 だが、想像していなかった事態が起きた。
 12月に入ってから枢木スザクは一回も学校に来なかったのだ。
 これでは何のために自分がいなくても進められる黒の騎士団活動だけ予定したり、計画を空けていたのか解らない。
 
 「というより、ただのバカだろう、お前」
 
 そう言ってC.C.に冷たい目で見られた。
 だが、あんな女の事はどうでもいい。いつも何故か生ぬるい、さもなければ何かを諦めた目で俺を見ているのは何時もの事だ。
 
 結局、クリスマスイブからクリスマスにかけてはスザクを招待する事も出来ずに、ナナリーと咲世子さんと三人でクリスマスを過ごした。
 C.C.?あいつは俺の部屋―――と言いたい所だがちゃっかりと家族団欒に居座っていた。
 しかも性質が悪い事に何時の間にかナナリーだけでなく咲世子さんとも親交を深めていたらしく自然に溶け込んでいたのだ。
 
 そんなこんなでスザクをクリスマスパーティーに呼ぶ事が出来たのは暮れも迫った
頃だった。
 
 「クリスマスパーティー?でも、もう30日だよ。」
 
 「わかっている。でも、さすがに正月迄は空いてるだろう?」
 
 「それは…そうだけど。」
 
 少し困った顔をしてスザクは言った。
 
 「でも、年末だし、色々と忙しくない?大掃除とか…あ、僕でよければ手伝うけど。」
 
 なんて検討違いな事を言い始める。
 
 「いいんだ。知らないのか?ブリタニアでは正月過ぎてもクリスマスの延長で祝うんだ。だから…それに、この時期ならお前も空いていると思って。」
 
 嘘ではない。本当はクリスマスから一月半ばまでパーティーという名目でスザクに泊まって貰うつもりだった。何だったらそのまま同棲生活まっしぐらでも俺は一向に構わない。寧ろ望む所だ。
 
 「本当にいいのかな?」
 
 それでも、控えめに、でも嬉しそうに笑う。
 C.C.にこの謙虚さが少しでもあればいいものを。そしてコイツはもっと図々しさを身に付けるべきだと俺は思う。
 
 「当たり前だろう。だから誘っている。それに―――ナナリーも喜ぶ。」
 
 とりあえず、ここでナナリーを使えば、条件は全てクリアされたも同然。
 チェックメイトだ。
 
 「ありがとう、ルルーシュ、それじゃ、今晩、お邪魔させて貰うよ。」
 
 嬉しそうに笑うスザクに念を押す。
 
 「ちゃんと、泊まる準備もしてこいよ?色々と話もしたい。」
 
 わかった、と手を振って去るスザクに、ひっそりと笑った。
 そう、色々と、今夜こそは友達という枠を越えてもいい筈だ。少しばかりクリスマスに遅れはしたが、クリスマスパーティーという事でありだろう。
 スザクの様子を見ていれば、満更でもないようだしな。
 
 
 
 
 
 
 「それで、何をしょげているんだルルーシュ。」
 
 C.C.の声には呆れた声が多分に含まれていた。
 
 「あの男の反応はしごく全うなものだと私は思うぞ。」
 
 ベッドに腰掛け、項垂れてぴくりとも動かず暗雲を垂れ込めさせているルルーシュにさらにC.C.は言った。
 
 「フられたからってそうしょげるな、鬱陶しい。」
 
 これだから童貞男は。
 
 「煩い!」
 
 童貞男と言われると腹が立つ。だってそうだろう?今回であわよくば脱童貞の筈だった!いや、男相手で脱童貞が成立するかどうかは微妙な所ではあるが。
 
 「全部口から出ているぞ、変態童貞フられ男、これだから妄想だけの頭でっかち坊やは。」
 
 「煩い!まだフられたわけじゃない!」
 
 即座に顔を上げてC.C.を見れば、酷く冷たい目で見られる。
 
 「お前、ひょっとして忘れているのか?」
 
 言っている意味が分からずに頭を傾げて目で問うた。
 すると、肩を竦めて溜息をつき、扉の近くまでC.C.は近寄る。
 
 「いや、お前が忘れているなら、それで良いが。あの男も忘れているようだしな。」
 
 不可思議な言葉だけを残して立ち去った。



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