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前回の続きでマオスザ。でもマオ出てこない。




!!!!!!!!!!!!

 子供が泣いて、震えている気がした。だから手を伸ばしたくなった。






 うっすらと目を開く。お腹が鳴った。今日で何日目なんだろうか。

 (軍に…無断欠勤なんて、今まで僕がやってきた事が無駄になってしまう。)

 あれから目を覚ます度に剥き出しの精神を乱暴に素手でかき混ぜられる。
 それは、酷く…キモチワルイ…

 (違う…怖いんだ。醜いって自覚してた筈なのに、出来てなくて。)

 それでも、まだ、自分はちゃんと正気でいる筈だ。正気でいないといけない。狂うことは許されない。逃げちゃいけない。

 それに自慢の順応力のお陰で慣れてきている。

 (自分は醜くて卑怯…それを受け入れさえすればいい。)

 スザクはぐっと部屋の扉を押した。
 何日目からかは日の光が一切無いのでわからないが、手の縄は外された。ただ、地下なのか、窓一つない、明らかに牢の作りの部屋からの脱出は難しい。

 (…違う、この場所から、本気で逃げたいと思っていないのかも知れない。)

 100%、自分を浚った男はルルーシュに恨みを持っている人間だ。
 自分を狙った、という事はナナリーに手を出す可能性もある。
 でも、彼が自分の側にいれば、ナナリーもルルーシュも安全である可能性が高い。

 (でも、そんなのは言い訳だ、逃げようと思えば、拘束するなりして脱出する事は何時でも出来た筈だ。)

 殺す気はないのか、食事は与えられた。トイレを望んだら手の縄は外された。もっとも手枷で行動範囲は限定させられてしまってはいるけれど。

 (苦痛ではあるけれど、居心地の良さを感じ始めているのかもしれない。断罪してくれるあの男に。――これが、甘え、か。)

 じっと、扉を見つめる。まだ、彼は来ない。食事を買いに行っているのだろう。

 マオ、彼は何日目かにそう名乗った。
 ルルーシュの彼女だろうか?その人の身内の人らしい事もわかった。その人しか身内がいなくて、何時の間にか、その人は姿を消して、ずっと探していたらしい。
 その人と以外は一緒にいれない。何故なら…

 (超能力……俄かには信じがたいけれど。)

 でも、納得がいく。誰も知らない筈の事を知っていた。
 桐原を始めとする京都の人達が隠した事実。誰も知りえる筈がない。

 (まだかな…何時もなら、そろそろ来てる筈なんだけど。)

 外に行くのが余ほどいやなのか、マオは食料を調達しに行く以外は、この閉ざされた部屋に一緒にいる。
とは言っても和やかに会話をする筈はない。
 スザクの内を読んで詰るか、何も言わずにその場にいるかヘッドホンで何かを聞いているか
 ――――ある女性の絵を書いているか。

 (詰る…っていうか。)

 始めは詰っていた。その筈だ。それを確かにスザクは恐れていて、気持ち悪さを感じて、次第に糾弾される事に安堵感を得てきて。

 (ああ、だからかな。最近、あんまり詰らない。)

 どちらかと言えば、詰っているのだろうけれど、それは当初とは違って意地になっている気がした。

 (そりゃ、そうか。マオは僕の心が読める。罪を暴かれるのを望んでいるのも知っているって事になる。)

 「必死…だね。」

 そう、彼は、詰るのに必死になってる。意地になって、きっとそうする事で彼の身内が戻る事を信じているのかもしれない。

 (―――無理やりにでも、ある筈がないとわかっていても、思い込まないと、前に進めない事もある。)

 自分を受け入れてくれる、たった一人の人。
 その人といた時が幸せで、その人が急に消えて一人になったら。

 (……怖い。失うのは、怖い。)

 恐かった。ただ、記憶の中にある記憶に縋って、それだけを頼りに前に進む。
 その記憶さえ次第に薄れて消えていって、だから欺瞞で自分の時を止めて。

 スザクは部屋に置きっぱなしの絵を見つめた。女性の絵。マオもきっとその人の記憶が消えないように必死なんだろう。

 (僕は、再会する事が出来たけど――――出来た、けど…彼らの内に入り込んだらいけない。)

 やるべき事だけをやって、距離を保たないと。不自然に不快に思わせない程度の所で。
 じゃないと――――いけない。

 無償に、彼に、マオに会いたくなった。
 彼が羨ましくもある。

 (きっと、彼は、求めるままに彼が望む女性の内に入れるんだろうな。)

 とても純粋に思えて、羨ましい。
 ガシャンと手枷に繋がれた鎖の音を立てて、描かれた絵に手を伸ばす。描かれた女性に触れた。

 (こんな所が見つかったら、怒るんだろうな。大切なものを汚されたって、子供みたいに。)

 それなら、今までの意趣返しに丁度良いかもしれないとスザクは悪戯をしかける子供みたいにほくそ笑む。
 僕が触って汚れたと言うなら、また、マオが描き直せばいい話だ。

 「それにしても、遅いな…何してるんだろ。」

 扉に向かって、カシャリと金属音を立てながら手を伸ばす。手枷がやけに重く感じた。 
 何時もならとうに戻って来ている。






 しばらくすると、足音が聞こえてきた。速い。

 (何かあったのかな。どうしたんだろう…慌ててる?)

 扉の前で足音が止まる。
 スザクは微笑んだ。このまま、お帰りと言って抱きしめたら、マオはどんな反応をするだろうか。
 嫌がってのけぞる姿が容易に思い浮かんだ。

 余程慌てているのか、扉の鍵をがちゃがちゃと回す音が暫くした。 
 上手く鍵が入らなかったのかも知れない。

 まだかな、まだかな…早くおいでよ、マオ。

 やっと、鍵が開いた音がして――

 「マ―――」

 オ、おかえり…手を扉に伸ばそうとして――――言葉が続かなかった。

 「スザクッ!スザク……スザク!無事か!?」

 そこにいたのはマオではなくルルーシュだった。
 血の気が引いた顔をして、こちらを見たら更に顔を険しく青くして泣きそうに顔を歪めた。
 僕は何か、今、変なんだろうか?

 足を縺れさせながらもルルーシュは駆け寄って壊れ物を扱うようにスザクを抱きしめる。
 ふわりと日の光の優しい香りがした。 

 「スザク…、スザクスザクスザク…済まない。すまなかった…ごめん、ごめん。」

 懐かしい、優しい声音に優しい腕。スザクは、固まった。 

 「…ルルー…シュ」

 そんな必死な顔をして。必死な声をして。

 手枷をしたまま、出来るだけ優しく笑って、スザクは抱きしめてくるルルーシュの背中をあやすように手を回した。

 「大丈夫だよ、僕は無事。何で君が謝るんだよ。」

 出来るだけ優しい声を出してルルーシュの髪に指を絡めれば、一層強く抱きしめられる。
 
 (こうして僕は、また、優しい偽り世界に身を投じる。 )

 じわじわと目の前が闇に染まった。






 ああ、あの子供は、今、どこにいるのだろうか。まだ泣いているのだろうか。
 手を伸ばした先から、どんどんと毀れていく。
 一回だけ、抱きしめてみたかった。 


1に戻る
―――――――――
登場人物同士の会話が無さすぎですね…。
次回の課題。
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