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ジノカレ描写があるジノスザ?

でもスザクは出てきていません。
カレンはスザクよりになる事はないのだろうなと。
カレンの扱い悪いかも…。すみません。

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 「もう、トリスタンには乗らないの?」
 そう聞かれたのは扇首相の結婚式の為、旧エリア11…日本に訪れた時だ。
 扇首相の結婚式には久しぶりに会った人間が多かった。日本で果実園を営むアーニャ・アールストレイム、元黒の騎士団の面々、カレン・シュタットフェルト…否、紅月カレンとも会ったのは久しぶりだ。その問いを発したのは隣にいた紅月カレンで、ジノは困ったように、へにゃりと笑った。
 「トリスタンは無いからな。あいつと同時に無くしたから。」
 カレンは知っている。
 トリスタンは修理されてちゃんと存在している事を。
 それでも、カレンは何も言わなかった。
 彼の言わんとしている事は分かる。聞かずとも分かる。
 それが悔しくて唇を噛み締める。
 ほんの、極僅かな期間だが、ゼロレクイエム後、ジノと付き合っていたのだ。
 ルルーシュが死んで、スザクが死んだ。ゼロがルルーシュを殺し、カレンとジノがスザクを殺して、半年経っていた。
 カレンはゼロレクイエム後、アッシュフォードに戻り、ジノはラウンズだった事もありナナリーの元で働いている。 

                  遠い空

 (……本当は、生きているのに。)
 ゼロレクイエムの最中、ゼロの動きを目にしたカレンにははっきりと分かっている。
 ゼロはルルーシュだった。
 そして、そのルルーシュが満足そうに死んだ。
 あの、自分が何時も正しいと思っていた男が、満足そうに、自分が扮していたゼロに殺されて死んだのだ。
 スザクの肉体が何一つ入っていないナイトオブゼロの墓。
 あのゼロの動き。
 …満足そうな、ルルーシュの顔。
 分からない筈がない。ルルーシュにあんな表情をさせる事が出来るとしたら、ナナリーと枢木スザク位のものだ。
 (……ムカつく。)
 カレンは拳を握りしめた。
 好きだったルルーシュが死んだ。ジノは全てを失った。
 お互いに、共犯者のような奇妙な連帯感から、そのまま傷を舐め合うように付き合い始めて一ヶ月程した頃だろうか。
 忘れもしない。喫茶店で二人でお茶をしていた時だ。
 ジノは空虚でにへりとした笑みを浮かべたまま、ぽつりと呟いた。
 『スザクが居ないんだ…。』
 当然である。自分とこの男、ジノが殺したのだから。
 いや、実際には死んでいないのだが――確認はしていないが、ナナリーも、そして、スザクと何時も供にいたあの二人の研究者も知っているだろう。
 ともあれ、社会的に、事実上枢木スザクは死んでいて、殺したのは自分達だ。
 『…ごめん。別れよう。スザクじゃなくちゃ、ダメなんだ。』
 …始めは傷の舐め合いだったと自分でも思う。それでも、優しいこの男に何時しか本気で惚れ始めている自分がいたのだ。
 短い休みを縫って日本に会いに来てくれる。どこまでも受け入れてくれる。
 どこまでも優しい、とても丁寧な扱いで。カーレンーとお気楽に呼ばれるのも、犬のように呼ぶと同時に後ろから圧し掛かられるのも……とても好きだった。
 ――ただ、こうなる予感も少なからずあった。
 ジノは毎回日本に来るたびにプレゼントを持ってきてくれる。
 それが…猫のぬいぐるみだったり、猫のネックレスだったり、向日葵の花束や桜の花束の時もあった。
 全く、カレンの趣味ではなかった。
 ――誰かを、思い起こさずにはいられないものだった。
 それを気のせいだと考えて、無視して……。
 少しずつジノに本当に惹かれて、本気で惚れきった時にこれだ。
 ぷつん……と、何かが切れたとしても、それはカレンの所為ではないだろう。
 冗談かと思ってまじまじとジノの顔を見つめても、いつの間にかにへりとした笑みは消えていた。
 かと言って真剣な瞳というよりは、カレンでない、どこか遠くに視線が向かっている。
 それが気に食わない。
 がたんと乱暴に席を立つと周りの目を気にする事も出来ずにジノの頬を―――グーで殴りつけた。
 見事に椅子から吹き飛ぶジノに、反対側から回し蹴りを端正な顔に食らわす。
 見事に決まった合わせ技に、おお…と周りの客が感嘆の声を上げるのも気にせずに手をパンと一つ打ち鳴らして、「さよなら。」と一言呟き喫茶店から去った。
 …こんな別れ方をされれば、『枢木スザクは生きている』なんて言える筈がない。


 しかし、その一件の後も、何度か通常のナイトメアで手合わせをしているし、普通に会って話す事はしている。
 それがジノの性格の賜物か、それほどまでに、ジノに惚れてしまっていたという事か。
 カレンには分からない。考えたくも無い。
 それでも、ジノは決してトリスタンには乗らないし、…どこか…前を見ていない。現実が見えていない。
 好きだからこそ分かってしまう。
 それが、カレンには堪らなく悔しかった。
 
 (だけど、絶対に…絶対にあんたには教えてやらない。)
 カレンは唇を噛みしめながら、幸せそうな扇達を、空虚な瞳で…どこか羨ましそうに見つめるジノを睨む。
 (だからあんたが嫌いなのよ、枢木スザク!)
 ジノの奥に見え隠れするゼロの姿を心の中で嘲笑ってやった。
 (絶対に教えてなんてやらないから!)
 

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