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7話を見たので8話になる前に妄想文いきます!!
ジノアニャスザです。叱られるネタ
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「行政特区日本を――――――」
ナナリーの優しい声が鋭い名前を頭を突き刺した。
嬉しいとは思う。ユフィの意志をナナリーが引き継いでくれる。
それは、自分もあの夢を引き継げるという事。
日本を…ブリタニアを変えていけるという事。
だけど、同時に嫌な記憶も蘇える。
血まみれになる人達。消えていく命。消えた足がかり、光り。
スザクは息を飲みナナリーを見つめ続け、過去の陰惨な光景に思いを馳せた。
――――もうあんな事は絶対に起こしてはいけない。起こさない。
それだけを考えて、その為の事を考えて、ナナリーの問いかけにやっと気がついた時にはナナリーの車椅子を引き廊下を歩いていた。
「ユフィ姉様は…間違っていませんよね?」
「うん…間違っていたのは…ユフィじゃない…」
伸ばされた手に言えたのは、辛うじてそれだけだった。
そう、ユフィのあの凶行はギアスによって齎されたものだ。だから、間違っていない。
間違ってなんか…。
ふと、思う。
ユフィが間違っていないといいながら、それは、自分が支持した彼女の意志、その為に自分が行った事を間違っていないといっていると。
こうやって、何かに縋って、自分は間違えていないと思い込もうと言い訳けをする。
許しは請わないと口にしながら、許しを請えないとわかっていながら…許しを請う事で拒否される恐怖にどこかで怯えてはいないかと。
――――まったく、自分は醜いな。
ナナリーに気付かれないように、スザクは臍を噛んだ。
行政特区日本――あの虐殺を二度と起こさない。その為に―――
やっと入ってきた騎士団の所在に逃げられない内にと勇んだ黒の騎士団討伐は失敗に終わった。
ナナリーがゼロに誘いかけた。ギアスを持っているかもしれないゼロに。
そして本当のルルーシュかどうかはまだ確証はない、ルルーシュでなければギアスを使われる心配はないだろう。ギアスユーザーの可能性が低いからだ。
そしてもしもゼロがルルーシュで、記憶が戻っているのなら安全なのではないか。ルルーシュがナナリーに何かする筈がない。
だけれども、もしもナナリーの記憶だけ戻っていなかったらナナリーの安全は?
本当にナナリーが安全だと言い切れるのか?
不安と焦りだけが膨らむ。行政特区日本の二の舞を起こしてなるかと気持ちが逸った。
焦りに勇み、初歩の初歩、海中の施設の調べが甘かった。いや、メタンハイドレードを知っていたから何が出来た?
いや、何か対策は出来たのかもしれない。結果、失わなくていい命を大量に殺した。スザクが呆然とその事実に慄き震える中、そんな中、ゼロが現れて言った。
「私はナナリー総督の申し出を受けよう」
「……ッ!」
息を飲む、フラッシュバックするのは虐殺が行われる前に見た最後のユフィの姿。
危険だといっていたのに大丈夫だとゼロを信じて彼女は笑っていた。その笑みが、瞳を閉じたナナリーと重なる。
きゅうッと胃の腑が縮まる。
今回も、やはり間に合わなかった…のだろうか…。―――と。
「…本気か?」
辛うじて出た言葉はそれだけだった。本当だったら、ルルーシュと戦わなくて済む。
…多分、相手はルルーシュだ。ちがう、ゼロ、だからルルーシュじゃない。だってナナリーに対して…。
思考が定まらない中、何度も頭の中で広がるのは散らばる赤、桃色の髪、そして髪の色がやわらかな茶色へ、華奢で幼い良く見知った少女へと変わる。
(駄目だ……今は、今はまだ…敵が前にいる。しっかりしろ…!)
猛烈な吐き気が襲う中、目に力を入れて前を見据え、操縦桿を力いっぱいに握り締めてゼロが去って行くのを只管待っていた。
―――ゼロが命じる!黒の騎士団は全員、特区日本に参加せよ!!―――
ゼロが、黒の騎士団が特区日本に参加する。それはいい…ユフィが望んだ、ナナリーが望んだ結果だ。
(だけど……)
視界が定まらない、眼球の震えが止まらず目を強く閉じるがあまり意味は無かった。
逆に一層に脳内の映像が強くなり、吐き気さえ覚える。平衡感覚が揺らいだ。
どうしても虐殺事件の場面が目から離れない。ユフィの時も急だった、ナナリーの時も急だった。そしてゼロが参加する。
さらに、だからと焦って作戦の失敗で失われた命の数々。これが指揮をするという責任の重さなのか。
スザクは手を握りしめ、痛みを感じる事もなく気付く事もなく手から血を滴らせた。
「スザク……おいっ!スザク……!」
強く腕を捕まれて、やっと意識が戻る。横を向けばジノがいて、ぼんやりと、ああ、咎められるために来たのだと思い出した。妙に現実感がない。
罰を……そう、罰が欲しい…今回も殺した、罰は受けなくちゃいけない。許しは請わない、それでも…
不意に胸の奥底から湧き出した思いに、請うように胸に願いを込めいると、ぽすんと柔らかく手が置かれてスザクは目を見開いた。
「あのな…ちゃんと聞いてたか?俺は怒ってるんだぞ。」
「……ああ、だから……どんな処罰でも受けるつもり―――」
「違うだろ!やっぱりお前、俺の話を聞いてなかったんだな。」
きょとんと目をさらに丸くしたスザクを見て、ジノは、やっぱりかと苦く笑った。
「お前……何日休んでない?」
「食事は全て食べているし、睡眠もちゃんととっている。自己管理は軍人の基本だ。」
質問の意図が分からずスザクは顔を顰めると、大げさにはぁ~とジノは頭を抱えてため息をつく。
「あーあー、そうだろうけどなー、あ~もうっ…何て言ったらいいのかね。じゃあ質問を変えるか。その自己管理が基本の軍人さんがなーんで精密検査を抜け出して黒の騎士団討伐に?」
緑色の目は、静かに覚悟を決めたように、ジノを見つめた。
「精密検査を抜け出し、下調べをせず、軍に大きな被害を、そして人命を犠牲にした処罰は何でも受け――」
「だから、違うと言った。処罰の話は無しだ、俺にそんな特権はないし、俺からすればエリア11にずっといた司令塔がメタンハイドレードの事を把握してなかった方が問題だ。助言位はするだろう。それにだ、命を失ったのはそいつらの力無さの責任。それがブリタニアだ。誰もお前をこれで攻めはしないだろ。」
「でも…自分の命令と指揮で―――」
「だいたい、資源施設を攻撃する方もどうにかしてる。資源はエリア11だけのものじゃない。他にも供給されるものだ。これで世界からも騎士団は睨まれるぞ。いいか?追い詰められたからって攻撃しちゃマズイもんだってあるんだよ。その近くに潜伏してるなんて持っての外だ。特にメタンハイドレードだぞ。地球温暖化にも拍車をかける。資源高、排出権高が進むのを望む奴はいない。環境問題を含めてだ。世界に敵を作ったも同然なんだよ、今回の騎士団の行動はな。」
「しかし…対策だって…」
「はっきり言うぞ、潜伏先がわかったなら、後はスピード勝負だ。特に騎士団捕獲はな。お前じゃなくても誰でもああなっただろう。初指揮にしては良くやってたよ。多少突発的な失敗に呆然としてはいたけどな。俺が言ってるのはそれじゃない。」
悪くないとは言わないが、スザクが思っている程の責任では無いのだと言う度に、緑の瞳が絶望に染まっていく。
罰を貰えないのが嫌で仕方がないとでも言うようにさえ…それにジノは眉を顰めた。
付き合いは一年。それでもそれなりにスザクの事は分かってきているつもりだ。それでも未だ踏み込めない部分も知らない部分も多くある。だが―――甘やかす気は無かった。
「なぁ、スザク…お前……罰が降格だったら、それを受け入れるつもりか?…普通、罰って言えば降格処分だ。」
びくりと哀れな程に背が跳ねて、スザクは強張った顔でジノの目を見据える。
「それは……」
「そりゃ降格してもお前の事だ、お前なりの方法でお前の夢を目指すんだろうがな。お前を信じたナナリー皇女殿下はどうなる?…エリア11はどうなるんだ。」
「………ッ」
「俺達はラウンズだ。今回の事は陛下の顔に泥を塗った。俺も前回で陛下の顔に泥を塗った事になる。だがな、そんなものは皇帝が俺らを選んだんだからその覚悟もあるだろう。」
「…ジノ…」
「罪の贖いの方法はな、色んな方法がある。…お前はもう知ってると思うけどな。それを全て罰と言う気はないが…自責して反省したら、次は対策だ。罰なんて反省を促す方法にすぎないだろ。何時まで自分を責めてどうなる。」
「……そう…だな……すまない。」
相変わらず顔色が悪い。なのに無理して笑う。それを多分スザクは自覚をしていないのだろう。エリア11に来てから、いや、兆候はゼロが現れてからだ。
(まったく……こいつは……)
ジノはますます眉の角度を鋭くしていった。
悪化したのは明らかにナナリー総督が行政特区の宣言からだろう。
朝から比べると見ていられない。思いつめた顔、振るえた手、たまに震える瞳。隠そうとしているようだが、隠せていない。 隠し事が上手いスザクが隠せていない、というのが気に食わない。いや…むしろそれには感謝するべきなのか。
食べて、睡眠をとって…それだけで人間は健康に過ごせるわけじゃない。身体と精神が根幹にある。
スザクの心の深くは知らないが、ゼロや前行政特区の事件は知っている。推察もいく。
(こいつはもう少し頼ってくれてもいいと思うんだけどねぇ…)
ジノは眉間に深く深く皺を寄せて深々と嘆息した。
「それで、だ、スザク…怒るのも反省と自覚を促すためなわけで、俺が怒ってるのはお前が自覚してない事みたいだな。」
「…へっ?」
何のことだろうかとでも言いたげに目を丸くすると、酷い顔色で、より幼く見えるから困る。
腰を屈め、スザク顔を覗くと、額にデコピンを食らわせてやった。
「精密検査、抜け出したんだって?」
「…あ…」
罰の悪そうな顔で弾かれた額を摩る。その仕草が年相応、いや、それよりさらに稚い顔に思わず苦い笑みがジノの顔に浮かんだ。
「何の精密検査か何て事は聞かない。ロイド伯爵関連って事は俺にも機密だろう?だけど、だ。自己管理が基本の軍人なんだから抜け出すな。」
「……ああ。」
「……ロイド伯爵達も、アーニャも…心配してたぞぉおおおおおッ!?って何するアーニャ!?」
「勝手に、私の事まで言わない。」
急に後から飛んできたチョップに、ジノの顔が煙をあげてテーブルに突っ伏した。
それまで、只管携帯を弄り顔さえあげなかったアーニャが横目でジノを軽く睨んでいる。
それにスザクが驚いて立ち上がり冷えたタオルを外に頼むと戻ってきた。
「ジノ…大丈夫か?」
「ああ、スザク、ありがと―――」
「…スザク、ジノに甘い。」
ぽつりと不満そうにアーニャが呟きながら、スザクの髪に指を通らせながら拙い手付きで頭を撫でる。
その優しい手にスザクは瞳を揺らめかせた後にぐっと耐えたように目に力が入った。
「ジノの小言は、ジノの心配で勝手にしてるだけ。私達は関係ない。」
「アーニャ…」
「心配は、かけてくれていい。だけど、力になれることは、言って欲しい。その為の私達。」
「……うん、ごめん…」
素直に俯いて謝るスザクにジノもアーニャも緩く微笑む。だけれど……と、アーニャもジノも思う。
どうせ、多分…どこかで言葉が届いていない虚無感も拭えない。
それでも、きっと…少しずつでも届けばいいと、俯いたまま肩を震わすスザクにアーニャは思った。
だけれど、絶対に…必ず届かせてみせる。泣く事はなくても、どこか絶望にそまったままの瞳に、ジノは思った。
――――――
実際どうなんでしょうか。
スザクは罰受けるの大好きだからジノに叱られたり詰られたら喜びそうです。
ロイドさんには矛盾を指摘されると反抗的な感じだったけど、やらかした事はおとがめや怒られるのを喜びそう。
そして必要以上に自分を責めていそうです。
なんですが…はたしてジノとアーニャはどうするんだろう。気になる。