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シュナスザ/クリスマス話/幼少期捏造/notほのぼの



&&&&&&
 
 「空を、見ているね。」
 
 優しげな声に聞こえない振りをして、少年は、ひたすらに灰色の空を眺める。
 
 それに気付いたシュナイゼルは、死んだと聞く強情な小さな弟を思い出した。
 
 「何が見えるんだね?」
 
 返事が無いだろうと分かり切って、しかし冷えるであろうその肩にマントをかける。
 
 瞬間、マントをふり払われた。
 見返してくる目には警戒心と憎悪。
 そのすぐ後に浮かぶのは罪悪感と絶望。
 最後は必ず、感情を消し去る。
 
 シュナイゼルはその最後が気に喰わなかった。
 警戒心でも憎悪でも罪悪感でも絶望でも、自分に向けられる感情はどれでもかまわない。
 ただ、枢木スザク――小さい敗戦国の少年の世界から弾き飛ばされるのだけは気に喰わなかった。
 
 (――ルルーシュとナナリーの友達、か。)
 
 総司令部に保護を求めて来た少年を引き取ったのは別に伊達や酔狂でというわけではない。
 メリットこそあれ、デメリットが少ないという事もあるが、何よりルルーシュの手紙に度々その名前が出ていた事が大きい。
 
 少年の翠の目には、また、ひらりひらりと落ちてくる白い雪が映っていた。
 
 「明日はクリスマスだね。寒いはずだ。」
 
 出来れば、その薄着の上に何か着て欲しいと恨みがましい声音は混ざっているだろうか。
 どうせ、少年がそれに気付いたとて、行動に移してくれる事はないのだろうけれど。
 
 少年の耳も手も赤くなってしまっている。せめて、部屋の中に。
 
 近付いて後から抱すくめ、耳と手を包み込む。
 今度は振り払われない、しかし、何か反応を返してくれる事もなかった。
 
 (やはり、あれを見たのがいけなかったのか、それとも、枢木元首相を調べた事がいけなかったのか。)
 
 初めにあった時は気落ちしている様子でこそあれ、取る態度は礼儀正しかった。
 
 態度が変わったのは、その体についた痕と、枢木元首相の事を調べ、浮かんだ疑問をスザクに聞いてからだ。
 
 明瞭な応えは得る事もないまま、今の態度に変化した。
 しかし、何がその小さな身に起きていたのか、予想する事くらいは出来る。
 
 多分、今の態度は取り繕っていないものなのだろう。
 上辺だけの取り繕われた礼儀正しさよりは断然今の方がいい。
 いいが、それでも少年の世界から弾き飛ばされるのは納得がいかなかった。
 
 「ルルーシュとナナリーはね、クリスマスに食べれるお菓子が好きだったようだよ。」
 
 ぴくりと、名前に反応して少年の体が動く。
 シュナイゼルはそれに少しだけ満たされる。
 
 「特にナナリーはね、フルーツが好きで、ドライフルーツを沢山詰め込んだデザートが好きだった。」
 
 国も、親も、身分も、友人も、全て奪われた少年は、親友のそれらを奪った兄である自分に何を思っているだろう。
 
 いや、思っていて欲しいの間違いか。自分という存在自体には興味さえ抱いてくれていないかもしれない。
 
 「あかい、ユキが。」
 
 ともすれば聞き逃してしまい兼ねない小さな声に驚いて、腕の中の少年を見る。
 
 聞き間違いではないようだが、空を見ても、白い雪は見えるが、赤い雪など見えはしない。
  当たり前だ。雪は白いと決まっている。
 意味を取りかねて、戸惑いながら少年を見つめ返した。
 
 少年は自分の顔を見上げていた。
 どこか虚ろで静謐、しかし、苛烈さを含む翠の瞳に自分が映っている。
 それに例え様も無い愉悦を感じた。
 
 少年はすぐに空へと視線を戻す。
 少しだけ、焦りを含む表情に見えた。
 
 「もし、本当にサンタクロースがいるなら…」
 
 そのまま口を閉ざしてしまう。
 
 少しだけシュナイゼルは驚いた。
 この子供の口からサンタクロースなどという単語が零れ出る事に。
 凡そ似つかわしく無い。
 年齢で考えれば年相応であるにも関わらず、酷く、似合わないように思えた。
 
 (…何でだろうね?)
 
 ああ、この子供が何かを強請るというのが可笑しいと思ったのだろう。
 それでも、もしも何かをそのサンタクロースに望むのであれば。
 夜中に何かプレゼントを少年の枕元の用意させるのも悪くはないかも知れない。
 例えそれが少年の望むものでなかったのだとしても。
 
 
 
 
 
 
 シュナイゼルの期待はある面で大きく当り、しかし、大きい歓びと少々の悲しみを伴なわせた。
 
 翌朝、少年の部屋を訪なった。
 どうせ、あの少年の事だ。プレゼントをありもしないように振舞っていると思った。
 開けられてもいない、存在をないものとされたプレゼントは、置いておいた所と寸分も変らぬ所にあるのだと。
 
 「枢木君、起きているかい?今日は―――」
 
 クリスマス、なんだよ。
 挨拶を全て言う事が出来なかった。
 ノックをして部屋に入れば、プレゼントとして用意させた服も、日本の菓子も、玩具も、ルルーシュの手紙に書いてあった興味があるであろう竹刀や釣具も。
 あるものや破られ、折られ、壊されて部屋に散乱していた。
 部屋の隅々にまで、破かれて紙片となった包み紙が散らばっている。
 その真ん中で肩で息をしながら、いまだ壊したりないのか玩具を足で踏みにじる少年の姿が見えた。
 
 「くるるぎ――――」
 
 君、と名前を呼ぼうと思って固まる。
 足や、手から、血が流れている。
 カーぺットも所所に紅い染みが滲んでいた。
 
 怪我を――近付こうとすれば、ギラギラとした翠に睨まれた。
 
 (嗚呼、手負いの獣のようだね。)
 
 食い殺されそうな瞳に動けなくなる。恐怖ではなく、美しさに魅入る。
 
 「……ぃ。」
 
 低く、唸るような声が聞こえた。
 
 「俺に、サンタクロースは来ない!必要、ない!」
 
 まるで、自分の所に来た存在を消すように、再び足元の玩具を踏み潰す。
 パッと紅い血が散って、白いカーペットに新たな染みを作った。
 
 「必要な奴は別にいる!俺の所に来る前に、行くべき所がある!」
 
 駄々を捏ねるように、壊れた玩具でベッドの柱を叩くと、手からまた血が降った。
 
 「悪い奴の所に来る奴は悪いサンタだ!そんな奴はいらない!」
 
 子供が、ここまで激昂するとは思ってもみなかった。
 驚いたが、初めて感情を爆発させた子供を見れたのは僥倖だと言えるだろう。
 見るも無残な姿に化けたプレゼント達は十分すぎる程、その役目を果たしたというものだ。
 
 「来るなら、あいつらの所が先だろ!」
 
 子供は涙でぼろぼろに顔を真っ赤にさせていた。
 ゆっくりとシュナイゼルは少年に近付く。
 少年は、動かない。
 
 ゆっくりと少年を抱きしめると、糸が切れた人形のように、少年は動かなくなった。
 顔を見る。
 
 涙の後や顔の赤さは残るものの、無表情に切り替わっていた。
 
 この子は既に、ナナリーとルルーシュが死んだ事を知っている筈だ。
 もしくは、彼の目の前で命を落とした可能性すらある。
 だから、彼は怒っているのだろう。
 間に合う事が出来なかった自分に。
 赤く熱をもった小さな耳に、染み渡らせるようにシュナイゼルはゆっくりと言葉を注いだ。
 
 「ナナリーと、ルルーシュの所に、まっさきに、行った筈だよ。」
 
 答えは返って来なかったけれども、少年の瞳は涙が溢れて一筋、頬へと流れる。

 行こうとしたけれど、間に合わなかったんだ。
 力を尽くした筈が、及ばなかった。あの時も、この時も。
 
 (スザク、今なら私にも、紅い雪が見えるよ。)
 
 涙を手袋越しにそっと拭い、血を流し続ける手の平に口付けた。
 
 
 口に広がった赤い雪は、酷く――どろどろとしていて甘かった。


―――――――
敵対心剥き出しの子スザクを懐かせてほしいです。
皇族は皆仲良しだと嬉しい。 
ゲンブさんは色々な虐待をしているといい。悪趣味。
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